峠にて

f:id:tabitomichi:20160918223015j:plain 真冬、チベットの峠にて。

車で越えるような峠ではなく、歩いて越える峠。
ヤクっぽいのが堅い藪をかじっていた。

積み石の上にいくつも掛けてある白い布は「カタ」。祝福したり、敬意を表すために使われる。カタのほかに小さな経文もくくりつけてあったが、ヤギにかじられて半分になっていた。

峠にはだいたい目立つ目印があって、その意味するところはだいたい同じではないだろうか。そのルートの重要な区切り、ルート同士が交わるポイント、これ以上行くか戻るかを判断する地点。

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峠を越えると、だいたい眺望が変わる。 その度にいつも「よくここまで来たなー」と心の中でつぶやく。

峠の目印とは別に、道中には少しだけ目立つ岩があったりする。そういった岩の上に石ころを置き、自分たちの道中の無事やこの場所を通る人の安全をチラッと願う。日本でもわりとある事だ。

チベットの現地の人も同じようで、見てると結構みんな石を置いている。1〜4個くらい。

このような背の低い石積みを見つけた時に、明らかに人が置いたとわかると、「この道は人が通れる、安全な道から外れていない」という安心感が自然に湧いてくる。

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現地の人が言った
「石をこう積んで、石の間から覗いたら、その人の将来がみえるよ」

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屈み込んで、しばらく覗いてみた。ここは4000m超えの高地、酸素が少なくてこの体勢はつらい…。

「んー?わかんない」

その時に見えたのは雪山だけ。
雪山といっても世界の屋根だから、きっと吉祥でしょう。
そう思ってまた歩き始めた。